見出し画像

北杜市で開催された移住・開業を支援する「北杜ツアー」に北杜ファンのライターが参加してみた

2024年11月6日、山梨県北杜市で『八ヶ岳移住・飲食店開業「北杜ツアー」』が開催された。9月28日に東京神田にて、地方で移住・開業を検討されている方向けの『東京セミナー』を開催し、その後続の取組として、首都圏から北杜市に来訪し、先輩移住者の現場を訪れるというもの。豊かな自然と美しい景観が魅力の北杜市で、新たな暮らしの可能性を探る一日となった。

八ヶ岳高原大橋と八ヶ岳

都市から地方へ、多彩な参加者たち

今回のツアーには、30代から70代まで幅広い年代の11名が参加した。都市部から地方への移住に関心が高まる中、北杜市の自然環境や地域資源を実際に見て感じてもらうための貴重な機会となった。
特に、食を通じた開業を希望する方には、名水百選に選ばれた湧水と河川がある北杜市は理想的な場所。ツアーでは、食材の生産者や地元産の食材を活かしたカフェ・レストランを中心に巡った。

農園でのたまご詰め体験から始まるツアー

最初に訪れたのは「平飼いたまご農園/ROOSTER」。参加者たちはクラフトパックへのたまご詰めを体験しながら、オーナーの徳光さんの話に耳を傾けた。徳光さんは、移住してからの苦労や厳しい冬のエピソードを包み隠さず話し、「今では地域の支えもあり、経営は安定している」と笑顔を見せていた。特に、地元の人々の温かさと自然の豊かさが、移住を決意する大きな要因だったと語る。

「平飼いたまご農園/ROOSTER」全景
オーナーの徳光さんの話を真剣に聞く参加者の皆様
ケージフリー&フリーレンジの鶏舎
 産みたての卵

おしゃれなエスニックカフェでランチタイム

続いて訪れたのは「エスニックカフェ/mountain*mountain w/cafe flat」。こちらは東京都から移住してきたオーナー山下さんが経営するお店。お店はセルフビルドで建てたそう。薪ストーブの温かい空気につつまれた店内で、地元産の食材を使ったエスニック料理が提供され、参加者たちは「おいしい!」と大絶賛。カフェオーナーの山下さんは、かつて東京都でカメラマンをしていた経験を持つ。北杜市のDIY文化を象徴するような暮らし方を体現している。ファシリテーターの石田さんとのインタビューでは、「都会の喧騒から離れ、自分のペースで生活できることが魅力」と話していた。

「エスニックカフェ/mountain*mountain w/cafe flat」の入り口
ルーロー飯と新鮮野菜盛りだくさんのランチ
「エスニックカフェ/mountain*mountain w/cafe flat」の店内

名水の地、北杜市ならではの酒蔵見学

次に訪れたのは「武の井酒造」。北杜市は湧水が豊富で、酒造業には理想的な環境。社長の清水さんはユーモアたっぷりに施設を案内してくれた。スタイリッシュでシンプルな建物ですが、昔ながらの調度品がマッチした空間で、壁に映し出された酒造工程の映像が訪問者を魅了する。3種類の日本酒が楽しめるきき酒セットが提供され、地元の食材を使用したおつまみも用意された。「八ヶ岳の清らかな水がこの味を生み出しているんです」と清水さんが語ると、参加者たちは興味深く耳を傾けていた。「おいしかった!」「話も面白かった」と、お土産にお酒を購入する参加者も多く見られた。

武の井酒造に併設された「NOBU SAKAGURA Cellar Door」
武の井酒造株式会社 代表取締役清水元章さんと奥様の由紀さん
八ヶ岳山麓の伏流水と花酵母が醸しだす酒

標高850mに佇む古民家レストラン「Terroir愛と胃袋」

ツアーの最後は、石田さん夫妻が営む「イノベーションレストラン/Terroir愛と胃袋」。標高850mの地に建つ古民家レストランは、地元産の新鮮な食材にこだわった料理を提供している。参加者たちは「冬場の営業はどうしているのですか?」といった具体的な質問を次々に投げかけた。石田さんは「冬は食材の選択が限られるため、その中で創意工夫するのが楽しい」と笑顔で答え、参加者たちは熱心にメモを取っていた。
さらに、「日本政策金融公庫」や「山梨中央銀行」「北杜市商工会」「北杜市役所」といった支援機関も登壇し、補助金や融資の説明が行われた。また、機材メーカーの「ホシザキ東京」より多方面からのサービスについて説明があり、移住・開業の実現性がぐっと高まったと感じた参加者も多かったようだ。

「イノベーションレストラン/Terroir愛と胃袋」の入り口
極上のスイーツを召し上がりながら歓談される参加者の皆様
最後のセミナー風景

ツアーを終えて、参加者たちの声

ツアーの最後には振り返りの時間が設けられた。「カフェを開きたくて参加しましたが、北杜市は理想的な場所だと感じました」「八ヶ岳の美しい景観ときれいな水に惹かれました」「移住したら、自分で野菜を育ててみたいです」といった前向きな感想が次々に寄せられた。地域の人々の温かさに触れたことで、移住への期待が膨らんだ様子が伺える。

参加者の皆様を乗せ帰路につくバス

北杜市の魅力と未来

市役所のツアー担当者は、「北杜市は、水資源に恵まれ、美味しい食材の宝庫です。参加者の皆様がこれからのライフスタイルを描く上で、今回の北杜ツアーが何等かの参考になればうれしく思います。」と語る。八ヶ岳の美しい景観、澄んだ水、そして地域の人々の温かさに触れた参加者たちは、北杜市の魅力を実感していた。
ツアーバスは夕暮れの中、東京方面へと帰路につく。「今日の参加者の中から、近いうちに北杜市に移住する人が現れるとうれしいですね。」と、石田さんは微笑みながらそう語った。北杜市の美しい風景と共に、移住・開業の夢が膨らむ一日となった。

※本事業は地域活性化センター『令和6年度 移住・定住・交流推進支援事業助成金』の採択を受け、『北杜市でのカフェ・レストラン開業支援プロジェクト』事業として実施致しました。