冬のイチゴとどう違う?高冷地でしか作れない貴重な「夏イチゴ」について農家さんに聞いてみました!【ふるさと納税】
イチゴの乗ったショートケーキにフルーツタルト、イチゴ大福・・・
スイーツにイチゴは欠かせないですよね!
イチゴの収穫時期は冬なのに、どうして夏でもイチゴを食べられるのか考えてみたことありましたか?
はじめまして!ふるさと納税担当の植松です。今回は、山梨県北杜市で「夏イチゴ」を生産している農家さんに取材してきました!
夏イチゴとの出会い
取材に応じてくれたのは、「美夏いちご園」の生沼さんと「朱りファーム」の澤田さん。お二人は、北杜市大泉町で夏イチゴを生産しています。この場所は、八ヶ岳南麓に位置し、八ヶ岳中信高原国定公園の南斜面、そして環境省日本の名水百選「八ヶ岳南麓高原湧水群」に選定されている場所で、北杜市の名水を象徴する場所でもあります。
はじめに夏イチゴ生産に至るまでの経緯についてお伺いしました。
朱りファームさんのWebサイトはこちら
⇒ https://www.akari-farm.jp/
夏イチゴの生産をはじめたきっかけは何ですか?
[生沼さん]
もともとは会社勤めをしていましたが、東日本大震災の影響で会社の経営が傾いてしまいました。北杜市の大泉町に移住し農業用ハウスにて、洋ランを栽培を始めました。なかなか洋ランは軌道にのることができず、この農業用ハウスを使い何かほかのものが作れないかと思ったのがきっかけです。
過去に冬イチゴを作っていた経験があり、他の事業者さんの誘いを受けて夏イチゴを作り始めました。
ただ、夏のイチゴって酸っぱいイメージがあったんですよね。形は綺麗だけとあまり甘くないケーキの上のイチゴみたいな。せっかく作るなら、ケーキの上に乗っていても子供が「おいしい」と言ってくれるような甘いイチゴを作りたいと思いました。調べていくうちに、夏イチゴにも甘い品種があることを知って、その品種を作ることに決めました。
最初のきっかけは震災だったんですね。澤田さんはどうですか?
[澤田さん]
私も東日本大震災は、夏イチゴを作るようになったきっかけの一つですね。東京で会社員をしていましたが、震災で会社が厳しくなってしまって。昔から自然の豊かなところで暮らしたいという思いもあり、奥さんの実家がある北杜市に移住してきました。
仕事は何をしようかと考えるうちに、農業を軸にしたいという気持ちが湧いてきて、北杜市内にある山梨県立農業大学校に入りました。農業を学ぶ中で、「北杜市の気候にあった作物で、ちょっと珍しいもの」を探していると「夏イチゴ」というものがあることを知りました。
夏イチゴを作っている人はいないかと、自力で探したところ、行き当たったのが生沼さんです。生沼さんからハウスを借りて、夏イチゴを作ることになりました。農業大学校では、採算の面から、イチゴは絶対につくってはいけない。と言われてましたが。。。
お二人とも、震災がきっかけで夏イチゴの生産をはじめられたと知って驚きました。色々な経験を積み重ねて、今に至るんですね。
冬イチゴより甘い?!「八ッ姫」の特徴
生沼さんと澤田さんは、数種類の夏イチゴを生産しています。今年「八ッ姫」という品種が、北杜市ふるさと納税の返礼品に加わりました。一般的な夏イチゴとはひと味違うイチゴのようです。「八ッ姫」とはどんな夏イチゴなのでしょうか。
冬イチゴと夏イチゴの違いは何ですか?
[澤田さん]
夏イチゴは冬イチゴに比べて収穫量が極端に少ないですね。
絶対的な条件として、イチゴってある程度涼しいところでないとうまく育たないんですよ。
だから、冬に暖かい地方で作ることはできても、夏イチゴは夏涼しいところでないと作れない。涼しくても、日照条件が良くないと育ちませんから産地は限られてきます。夏イチゴの作付け面積は、冬イチゴの100分の1以下なんですよ。
一反当たりの収穫量も違います。冬イチゴは、反収4トンは当たり前ですが、夏イチゴは1.5トンしか採れません。
[生沼さん]
味に関しては、冬イチゴは甘い品種が多くて、夏イチゴは業務用の酸っぱい品種が多いです。生産に適した土地が少ないので、夏イチゴは冬イチゴに比べて品種の開発自体があまり行われていませんね。
「八ッ姫」はどんな夏イチゴですか?
[澤田さん]
八ッ姫は、BS8-9という品種を独自の栽培法で育てたイチゴです。北杜市で作っているというオリジナル色を出したかったので、八ヶ岳にちなんで「八ッ姫」と名付けました。
八ッ姫は、綺麗な水が豊富で日照条件がよい、この土地だからこそ作れる特別な夏イチゴです。
[生沼さん]
1番の特徴はその甘さですね。糖度はほかの夏イチゴと比べると圧倒的に高いです。
イチゴは時期によって味がだいぶ変わるんですよ。中でも八ッ姫は、夏が過ぎてだんだん寒くなってくると酸味が抜けてものすごく甘くなります。冬イチゴの出始めの11月くらいは、八ッ姫の方が甘いくらいです。
[澤田さん]
果肉の断面が非常にきれいなのも八ッ姫の特徴です。
夏イチゴって、果肉の白いものが多いんです。八ッ姫は、冬のイチゴによくあるように、中にろうそく型の赤い模様ができます。カットした断面がきれいなので、見た目のきれいさを重視するケーキ屋さんなどには非常に好評ですね。
夏イチゴは生産量が少なく貴重なんですね。酸っぱい品種が多い中、「八ッ姫」は、冬イチゴに対抗できるほど甘いイチゴであることがわかりました。
まだまだ発展途上中!夏イチゴの栽培方法
夏イチゴの生産に関してどんな場面で苦労しましたか?
面白いと感じたことも教えてください。
[生沼さん]
最初は、周りに誰もいない状態からスタートしたので、取引先を見つけるのに苦労しましたね。
[澤田さん]
イチゴに限らず、生産物の出荷方法は色々あると思うんです。全部1つの事業所に卸す方法もあれば、1件1件営業をかけて売り先を決めていく方法もある。私はどちらかと言えば後者の方でしたね。そうすると世の中の動向や需要などの話が入ってきて面白い。ただやっぱり難しいですけどね。
取引先を見つけるのに様々な苦労があったんですね。
栽培に関してはどうですか?
[生沼さん]
夏イチゴは栽培方法が確立されていないので、手探りで作っているところはありますね。
冬イチゴのデータを参考にすることもありますが、的外れだったりする場合もあります。そのデータの修正を自分たちでやらなければいけないところが大変だったりしますね。
栽培技術的にまだまだ課題はありますが、まだ誰もやっていないことに挑戦している面白さがあります。
[澤田さん]
新しいことは全部自分たちで試していかないといけない点は大変です。でも、そこで得られた技術というのは、他が持っていない技術だったりするので、よそと差別化を図ることはできますね。それをビジネスチャンスととらえれば、面白さはあります。
夏イチゴは、以前は業務用のケーキに乗せるイチゴという使い方ばかりでしたが、今はケーキ以外でも、かき氷やフルーツ大福など色々と夏イチゴの使い道が出てきたので今後が楽しみです。
栽培方法が確立されない中、試行錯誤を重ねて今の夏イチゴにたどり着いたんですね。業務用イチゴの使い道も多様化しており、夏イチゴは今後ますます需要が高まっていきそうです。
北杜市は夏イチゴ生産に向いている?
実際に北杜市で夏イチゴを作ってみてどうでしたか?
[生沼さん]
北杜市の日照時間は群を抜いているし、ここは標高も高く涼しいので、夏イチゴ作りには非常に適地だと思います。標高が1,000mあって、これだけ土地が開けている場所はなかなか無いんじゃないかな。何を作っても美味しくできると思いますよ。
[澤田さん]
私もこの土地は、間違いなく夏イチゴの生産に向いていると思います。ここであればいいものができるんじゃないかという挑戦意欲が掻き立てられますね。北杜市の、自然が豊かで標高が高い気候を利用して、いつか北杜市が他県を追い抜くような夏イチゴの産地になってほしいですね。
北杜市の日照時間は全国トップクラス。気候も涼しく、夏イチゴ生産には最適な場所なんですね。ぜひ、北杜市が夏イチゴの産地として有名になってほしいです。
夏イチゴの今後について
今後の展開は?
[生沼さん]
子供に食べてもらって「甘くておいしい」と言ってもらえるようなイチゴを夏イチゴで作りたいですね。私の娘が夏生まれなのもあって、夏にお誕生日の子供もイチゴのケーキを食べて喜んでほしいという思いが強いです。今後も甘い夏イチゴにこだわって作っていきたいです。
[澤田さん]
私は、沢山の人が夏イチゴ農家として参入してくれることを願っています。夏イチゴを作るために北杜市に移住して来る人が増えて、この場所で夏イチゴの一大産地を作ることができればいいですね。
私はたまたま北杜市に来て夏イチゴに出会えましたが、他の場所だったら農業はやっていたとしても、夏イチゴを作っていることはまずないと思います。この場所は本当に最高です!経営的には決して順調とはいえませんが、10年近く何とかやってこれました。せっかくここは夏イチゴを作るのに最適な場所ですから、夏イチゴ農家をはじめたい人が入ってきやすい場所になってほしいですね。
私たちが季節を問わずイチゴを食べられるのは、農家さんの努力があってこそですね。これからも北杜市でおいしい夏イチゴの生産をよろしくお願いします。貴重なお話をありがとうございました!
今回、取材させていただいたお二人の夏イチゴは、北杜市ふるさと納税の返礼品としてお取り扱いしています。全国的にも栽培が珍しい「夏イチゴ」。この名水の地で栽培する「夏イチゴ」。自慢の「八ッ姫」。この機会に、ふるさと納税にていかがでしょうか?
【執筆】ふるさと納税担当 植松
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